高槻市南平台 石井ピアノ教室
石井倫子です。
グローバーピアノ教本
グローバーピアノ教本は導入~6巻まで全7冊からなる教則本です。
この教本の特徴は、音楽性豊かな曲を題材にしていること。
ほとんどの曲に題名があり、外国の絵本のようなさし絵が描かれています。
モーツァルトのソナタやグリーグの「朝」やチャイコフスキーの悲愴などをやさしくアレンジした曲もあり、小さな子供でも名曲のエッセンスを味わうことができます。また元の曲を聴くことで、より広く音楽の世界に触れることができるでしょう。
グローバーピアノ教本の構成は初めに音階とカデンツ(和音の終止形)を練習した後でその調の曲をいくつか練習するといった形式で、音階の基礎とⅠ-Ⅳ-Ⅴのカデンツが身に付くよう考えられています。
楽譜は小さい子にも見やすい大きさです。(導入編からすすむにつれて、音符が小さくなっていきます)
導入編
導入編のみヨコ型、オレンジ色の本。
中央のドから右手がドレミファソ、左手がドシラソファで書かれており、両手同時ではなく交互に弾くところから始まります。本を終えるころには右手左手それぞれ1オクターブの範囲に広がって両手同時に弾きます。
そしてこの段階からト長調、ヘ長調の曲が入っています。
強弱記号やrit.(だんだん遅く)など速度標語のある曲もあり、早い段階で音楽的な表現を取り入れていることが素晴らしいと思います。
この本からレッスンを始めることも十分可能ですが、低年齢の生徒さんにはもう少し曲数が欲しくて、この本の前に「うたとピアノの絵本」を使っています。
多くに伴奏がついていて、先生と連弾でも楽しめます。
拍子は4/4と3/4 四分音符より長い音符で書かれていて初めてピアノを習う人にも易しく弾ける教材です。
1巻
縦型、黄緑の本。1巻から音符が少し小さめになります。
音階や和音の終止形とその調の曲という構成ですが、音階はドレミファソの5音。終止形も完全な形でなくドソ、ファソと音が少なくなっていて、小さな手で弾くことをよく考えられています。「ドミソ3つの音で和音を弾ける生徒には音を書き足してください」と添えられています。
調はハ長調、ト長調、ヘ長調で導入編と同じ範囲です。
最後の1曲のみペダル表示があります。幻想的な雰囲気が味わえる曲で、先生がペダルを踏んで導入しておくのも良いと思います。
拍子は4/4、3/4、2/4拍子。リズムは8分音符まで。
2巻
黄色の本。
2巻からは音階、和音の終止形とも完全な形になっています。
くりかえし練習するうちにⅠ-Ⅳ-Ⅴ7の形が自然に覚えられ、メロディに簡単に伴奏を付けられるようになります。
調はニ長調とト短調が、拍子は6/8拍子、後半ではペダルを使う曲が登場します。
3巻
ブルーの本。
3巻では和音の展開形を長調、短調ともに学びます。展開形を使った曲もたくさんあって、子どもが難しいと感じる和音の良い練習になっています。
巻末では長調のⅠ-Ⅴ7の形を全ての調で練習します。
新しく登場するのはイ短調、ニ短調。
4巻
ピンクの本。
新しく16分音符が加わります。子ども向けの教本で増三和音、減三和音を取り上げているのは珍しいですね。
トリルや半音階の練習、ストリーボッグ、グルリット、バロック期の曲など既存の曲も含まれます。
調はイ長調が加わり、アルペジオの練習も始まります。
進度はブルグミュラー程度。
まとめ
グローバーピアノ教本 導入編~4巻までを紹介しました。
ピアノ教師を始めた頃は、当たり前のようにバイエルやメトードローズといった昔からある本を使っていましたが、ロシア奏法を学んだことから、たとえ片手だけで弾いたとしても音楽を感じて弾かなくては…という思いからいろいろな教本を探す中で、グローバーに出会いました。
子どもの想像力や感性を伸ばし、ピアノを弾く技術が育つ素晴らしい教材だと思います。
5~6巻は使っておらずブルグミュラーやプレインベンションに進んでいますが、またご紹介できたらと思います。